資産運用

NISAのメリット・デメリットとは!初心者が間違いやすい注意点もご紹介

(写真=polkadot / PIXTA(ピクスタ))|210803-4

金融庁発表の資料を見ると、NISAの口座開設数は増加傾向にあります。2014年の制度導入時点では約492万口座でしたが、2020年12月末時点では約1,220万口座と約2.5倍に増えています。
そんなNISAは個人が気軽に資産運用できる制度ですが、始める前にメリットやデメリットを把握しておきたいと考える人は多いでしょう。
そこで今回は、NISAのメリットとデメリットを投資初心者にもわかりやすく解説します。初心者が間違いやすい注意点もご紹介しますので、理解を深めてから投資に取り組みましょう。

出典:NISA・ジュニアNISA利用状況調査|金融庁

NISAの概要

NISA口座を利用すれば、株式や投資信託などへ投資して配当金や譲渡益などの利益を得ても、利益そのものに税金はかかりません。

通常一般的な投資で利益を得ると、利益に対して20.315%の税金がかかります。
たとえば株式投資で10万円の利益を得ても税金で2万315円が徴収されます。その結果、実際に受け取れる利益は7万9,685円まで減ってしまうのです。

しかし、NISAを利用すれば、一定期間、一定金額の範囲内であれば利益に対して税金がかかりません。投資で10万円の利益が発生すれば、10万円すべてが手元に残るのです。

この記事でご紹介するNISA(一般NISA)以外にも、つみたてNISAやジュニアNISAなどの種類があります。

NISAの3つのメリット

NISAを利用して得られるメリットは、次の3つです。

  • 投資利益が非課税になる
  • ロールオーバーで非課税期間を延長できる
  • 払出し制限がない

投資利益が非課税になる

NISAを利用するメリットは、先述した通り一定期間、一定金額の範囲内であれば投資利益に税金がかからないことです。税金がかからないため税額等を確定する確定申告も不要です。

ただし、税金がかからない投資枠や期間には制限があります。NISAの非課税投資枠の上限は年間120万円で、非課税期間は最長5年間です。したがって、毎年非課税投資枠を満額使い続ければ最大600万円を非課税運用できます。

NISA制度には、つみたてNISAやジュニアNISAもありますが、年間の非課税投資枠の上限が最も高く設定されているのはNISA(一般NISA)です。

ロールオーバーで非課税期間を延長できる

NISAの非課税期間は最長5年間ですが、ロールオーバーと呼ばれる手続きをすれば非課税期間を延長することができます。ロールオーバーすれば、非課税期間を最長10年間まで伸ばせます。

ロールオーバーとは、保有中の金融商品を翌年の非課税投資枠に移すことです。
保有中の金融商品の価格が上昇して非課税投資枠の120万円を超えていても、そのままロールオーバーできます。もし金融商品の価格が150万円になったとしても、超過分の30万円に税金がかかることもありません。
しかし、ロールオーバーした金額が非課税投資枠の120万円を超えていた場合、すでに翌年の非課税投資枠を使い切っていると判断されるので、その年の新規の買付はできないことを覚えておきましょう。

払出し制限がない

NISAには払出し制限がないため、必要なときにいつでも現金化することができます。緊急時に対応しやすいのがおすすめポイントです。

NISAのように運用益が非課税になる制度にはiDeCo(個人型確定拠出年金)もありますが、iDeCoは原則60歳になるまで資産を引き出せません。

NISAの4つのデメリット

(写真=未選択 / PIXTA(ピクスタ))

NISAを利用する場合、以下の4つのデメリットも把握しておくべきでしょう。

  • ほかの口座との損益通算はNG
  • 繰越控除も適用されない
  • 損失が発生しても課税される場合がある
  • つみたてNISAとの併用は不可

ほかの口座との損益通算はNG

通常の投資で複数口座を運用している場合、損益通算が可能です。損益通算とは、複数の投資用口座でそれぞれの利益と損失を相殺することです。損益通算には節税効果が期待できます。

しかし、NISAでは損失が発生しても税務上の損失とは見なされません。NISAは非課税なので「損失がないもの」と見なされるからです。そのためNISA口座とほかの投資用口座では損益通算ができないのです。
たとえNISA口座で損失が出て、NISA口座以外の口座で相殺できそうな利益があっても、損益通算できず利益分の税金を支払う必要があります。

繰越控除も適用されない

「繰越控除」とは、本年分の損失を翌年以降に繰り越して、翌年以降の利益から控除できる制度です。

通常の投資であれば繰越控除が使えるため、損益通算と同様に節税効果が期待できます。

ところが、先述した通りNISAは投資利益が非課税になるため、損失も税務上「ないもの」と見なされます。そのため、損失は翌年以降に繰り越せないのです。

損失が発生しても課税される場合がある

非課税期間終了時にNISA口座の金融商品を課税口座に移すと、その時点での価格が「購入価格」と見なされます。そして、そこから値上がりすれば、利益分に税金がかかります。

当初の購入価格が120万円で、課税口座に移した時点で100万円まで値下がりしていたとしましょう。この場合、100万円が「購入価格」と見なされます。本来であれば20万円の損失が発生している状態です。
しかし、100万円が「購入価格」と見なされるため、損失が発生しているにもかかわらず、値上がり分は課税対象となるのです。

つみたてNISAとの併用は不可

ひとりでより多くの金額を非課税投資しようと思っても、制度上、NISA(一般NISA)とつみたてNISAは併用できません。

とはいえ、家庭内で使い分けることは可能です。夫はNISA(一般NISA:年間120万円まで)、妻はつみたてNISA(年間40万円まで)とすれば、家庭内で合計160万円の非課税投資ができます。

加えてお子さんがいるご家庭であればジュニアNISA(年間80万円まで)も併用できるため、より多く非課税投資したい場合は、家族内での使い分けを検討してみてください。

ただし、家族の名義を勝手に使って口座開設や取引をしてしまうと「仮名・借名取引」となります。「仮名・借名取引」は法令違反となり、取引の停止や口座の解約等の措置がとられる可能性があります。また、家族の名義を使用して(借名取引)複数の非課税口座で取引を行った場合、脱税に当たるおそれもありますので十分注意してください。

NISAの2つの注意点

最後に、初心者が間違いやすい2つの注意点を解説します。

  • ひとり1口座のみ
  • 投資枠は余っても繰り越せない

ひとり1口座のみ

NISA口座を開設できるのは、ひとり1口座のみです。金融機関それぞれに1口座ずつではありません。
金融機関AでNISA口座を開設していれば、金融機関Bや金融機関Cでは開設できません。
誤って認識している人が多いため注意してください。

ただし、NISA口座を開設している金融機関の変更は1年ごとに可能です。

投資枠は余っても繰り越せない

NISAの非課税投資枠は年間120万円が上限ですが、未使用分があっても翌年以降には繰り越せません。非課税投資枠はあくまで新規投資が対象です。

使わなかった分があったとしても非課税投資枠が増えるわけではないため注意しましょう。

まとめ

NISAは投資利益が非課税になるため、効率的な資産運用が期待できます。とはいえ、損失が発生していても税金がかかるケースもあるため注意してください。
そんなNISAの口座開設者は年々増えていますが、商品選びが高いハードルとなる場合もあります。
商品選びでつまずきそうな方は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談してみましょう。IFAなら、中立の立場から商品選びをアドバイスしてくれます。
NISAでより手軽に資産運用するためにも、ぜひIFAを活用してみてください。

 

 

※記事の内容は作成時点の情報であり、制度変更などを受けて、将来予告なく変更されることがあります。


CTAサンプル

The Call to Action Widget is a tool for creating beautiful boxes that combine an image, some text, and a button.